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「天空国の守護者」
天空国編

エピローグ(2)

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「およびでしょうか」
きっかり2刻後に書記官がシスルの私室に現れた。
その間に入浴と着替えを済ませたシスルは私室のソファに足を組んで腰を下ろし、扉をくぐって入ってくる男を見ていた。
紫の瞳が剣呑で昏い光を浮かべているのに、書記官が微かに足を下げた。
「僕が怖い?」
うっすらと口元に笑みを浮かべて、シスルは訊いた。口調は柔らかいが、ぞくりとするような声音だった。
書記官は寒さを感じたのか、腕を反対の手で擦っている。
「おまえは正直だ」
くすりと笑ってシスルは目の前のテーブルにあった木の皮のメモを取りあげるとふっと書記官に向かって飛ばした。舞い上がった木の皮はふわりと床に着地する。
書記官は腰を曲げて、それを拾い上げると怪訝そうな顔をして、つたない字で書かれたメモを読み上げた。
『いままでありがとう。そして、ごめんなさい』
書記官は顔を上げて、シスルを見た。目には意味を問う光が躍っている。
「籠の鳥が逃げちゃってね。かわいがっていたんだけどね」
シスルが謎解きのような呟きを書記官に投げてふっと微笑む。
「それはいいんだ。ま、人間だし、そのうち人間界に返そうと思ってたしね」
言いきったシスルの瞳がさらに昏い色を深くした。
「だけど、その籠を開けたのが守護者の2人の隊長と将軍だとしたら?そしてそれらが、鳥を伴って、国を捨てたとしたら?」
書記官が驚きに目を瞠り、息をつめた。シスルの言葉の意味は明白だ。
反逆罪。
「そんな。ありえない」
書記官にしては珍しく、シスルの言葉を否定した。そのくらい信じられないことだ。守護者は国に絶対の忠誠を誓い、そして、その使命に誇りと尊厳(プライド)を持っている。
「だが、事実だ」
シスルの紫の瞳が剣呑な光を強め、書記官は打ちのめされたように一歩下がる。ありえないと呟く書記官にくすりと一つ笑みを送って、シスルは背筋を伸ばした。
「命令を全軍に」
おごそかな国主の声に弾かれたように、書記官は片膝を床につき、頭を下げた。
「守護者黒軍隊長タミル・ブラックウェルおよび、黄軍隊長レイラース・アマリーヤ、さらに将軍セイン・シルバンス3名を捕らえ、国に連行。命だけは奪うな。生きて連れてこい。多少のダメージは問わない」
書記官は「はっ」と返事をし、頭を更に低くした。
「連れている鳥はどうされますか?」
書記官の問いに、シスルは少し瞳を開き、それから右上の天井に視線を反らせた。
「そうだな……どうでもいいな。生死は現場の判断に任せる」
ほんとうにどうでもよさそうな口調でシスルは答えた。実際、国の一大事にキリスエールはどうでもよかった。守護者が国を棄てて、人間界に降り立ったことが最も問題なのだから。
「わかりました。それより、あの方々の捕獲となると人間界で騒ぎが起こることになりますが……」
「それは気にすることはない。多少の被害は止むを得ない」
口の端を少し上げて、シスルは笑った。守護者軍が人間界で暴れたら、多少ではすまない被害がでることになるだろうが、そんなことはいまのシスルにとってはどうでもよかった。そもそも人間界を護っていたのだって、古の契約であって、形骸化しているのだから。
「指揮はどなたが?将軍が空席になりましたが」
すでに方針が決まっているせいか、それともシスルが落ちつきはらっているせいか、書記官は先ほどの動揺など嘘のように質問を返す。
「そうだね。アズールに……いや、私が出よう」
書記官は下げていた頭を思わずといったように上げた。ひどく予想外の答えだったのか、それとも一人称が変わっていたせいか。
「おかしい?私はこの国の最高責任者だと思ったけど」
口端を微かに上げて、書記官を見ると彼の背が微かに震えた。書記官が自分に怯えていることを感じとって、シスルは、そんなにいつもと違うだろうかと思った。確かに取り繕うのはやめてしまったが、もともと自分は皆から怖れられていたはずだ。
「御意」
一瞬の間の後、はっきりと告げられた書記官の答えには、だが、先ほど見せた怯えの影はどこにもなかった。
やっぱり喰えない男だとシスルが思うのを遮るように、
「かしこまりました。全軍にご命令を伝えます」
書記官は、再度、低頭し立ち上がった。そのままシスルに背を向け、扉に向かって歩き出す。
「そうだ」
シスルの呟きに書記官が振り向いた。
「カルアにも出撃許可を出してやれ。単独で動く許可も。自分の元上司の裏切りだ。決着をつけたいだろうからね」
そう言って微笑んだシスルの笑みに書記官が驚いた表情を返した。書記官が意外に思うなら、彼らの意表も突けるだろう。自分が動きを止めて、国主を見つめてしまっていたことに気付いたのだろう。慌てて書記官は頭を下げると部屋を出た。
「守護者全部を相手にどれだけ持ちこたえられるかな」
今は目の前にいない3人を思い浮かべて、シスルは楽しそうに喉の奥でくつくつと笑い声を立てた。暗く黒い愉悦にシスルはしばらく笑い続ける。
後悔するといい。僕を殺さなかったことを。最良の選択を棒にふったんだと思い知るといい。
止まらない笑いの奥でシスルはセインに向かって言葉を贈る。
『間違ったのは、セイン、君だよ』と。


第2部完
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